cjc | 3月号-4
 
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平成16年度調査研究報告(その3)

 平成16年度に当センターで実施した調査研究については前号、前々号でご報告したところですが、今号でも引き続き1課題についてご報告します。


産業機械における環境配慮設計の現状と課題に係る調査研究(財団法人機械振興協会経済研究所委託事業)

 環境配慮設計(DfE:Design for Environment)とは、環境への影響を配慮した製品等の設計のことで、環境調和型設計と称されることもあります。製造、流通、使用、廃棄等の各段階で発生する環境負荷をあらかじめ予想し、対策を製品設計に織り込むことは環境負荷低減に効果的であると考えられています。
  平成13年に改正された資源有効利用促進法は、廃棄物の発生抑制(リデュース)、部品等の再使用(リユース)、使用済み製品等の原材料としての再利用(リサイクル)を総合的に推進するために、製品の製造段階における3R対策、設計段階における3Rの配慮、分別回収のための識別表示、製造業者による自主回収・リサイクル・システムの構築などを製造事業者が取り組むことを規定しています。
  こうした状況において、今後、我が国の機械工業が持続的に発展するために産業機械製造事業者は省資源・資源循環が可能な製品の製造、環境負荷の低減に配慮した原材料の調達を行うことが求められています。
  既に資源有効利用促進法における指定製品や産構審ガイドラインの対象品目となっている自動車・家電等については先駆的に環境配慮設計をはじめとした製品製造における環境配慮の取組みが進められています。本調査研究では、建設機械・農業機械・生産設備等の産業機械を対象とし、種々の環境配慮事項の中でも3R促進を配慮した製品製造(3R配慮設計)への取組み状況と実施の可能性や、その取組みを阻害する要因並びに解決すべき課題を探究するとともに、その対応策を検討することにより、産業機械の環境配慮性の向上を図ることを目的としています。




●産業機械の環境配慮設計に関する動向
  現在、環境配慮設計に関する国際規格のテクニカルレポート(ISO TR 14062)の各産業界への落とし込みなど、機械装置全体の環境配慮設計の取組みが動き出しつつあります。また、LCAやリサイクル・システムの構築など、様々な取組みが複数の産業機械業界にて進められていますが、産業機械全体を見渡した場合、特に取組みを行っていない業界も多く、取組み度合いに格差があります。そこで、産業機械全体の取組みの底上げを図るため、多種多様な品目に共通する切り口として、3R、特にリサイクルに焦点を当てています。

●産業機械の静脈物流の現況と課題
  産業機械の主要素材である鉄を中心に、産業機械の静脈物流の現況と課題を把握した結果、我が国の鉄スクラップ(老廃屑)に対する産業機械の割合は約14%と自動車に次いで多く、産業機械が鉄の静脈物流に大きな位置を占めることが確認されました。
  一方、鉄リサイクル業者や電炉メーカーでは産業機械の解体時のオイルの流出や再生時の銅・レアメタルの混入など、分解性や適正処理の上での課題があることがあげられます。さらに、昨今では中国等のアジア諸国に、分解されないまま雑品と

 

して輸出されることも多くなっており産業機械に使用された鉄は高級スクラップが主体だが、輸出増により国内のスクラップの低品質化や分解技術の低下など、国内鉄リサイクル業界に構造的な変化を与えつつあります。
  また、産業機械の製造・流通・販売から廃棄に至るルートについて、ヒアリング調査をもとに整理し、多種多様なルートの特性に応じたユーザー・販売店・ディーラー・処理業者等の関係者との情報共有が必要であることが分かりました。

●3R推進に向けた取組課題
 短期的には、まず産業機械業界全体の情報共有化、共通認識づくりを進めると共に、解体容易性を向上させるためのラベリングの実施など、現在取組みを行っていない業界が着手容易と思われる取組みを進め、全体の底上げを図る必要があります。
 また、中長期的には、産業機械としての国際静脈物流に対する基本的な考え方を検討していくと共に、使用済み産業機械の物流把握のための情報基盤の整備(トレーサビリティの向上)や、産業機械の環境配慮設計に関する規格化などを、各品目の特性に応じて進めていくことが望ましいと考えられます。


図1 鉄スクラップ需要実績(2003年度)

図2 鉄スクラップ輸出内訳(2003年度)

図3 平成14年国内老廃屑に占める産業機械の割合


クリーン・ジャパン・ニュースレター[No.15]4

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