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CJCトピックス

平成22年度リサイクル技術開発本多賞(第15回)表彰式を挙行

 「リサイクル技術開発本多賞」は、長年廃棄物リサイクルの分野に携わってこられた故本多淳裕先生(元大阪市立大学工学部教授、元(財)クリーン・ジャパン・センター参与)のご厚意に基づき、リサイクル技術開発に従事する研究者・技術者等への研究奨励を目的として平成8年度に創設されたものです。

 平成22年度は、研究報文7件及び技術報文4件の計11件の応募があり、その中から下記の研究報文2件が選定され、平成23年1月21日(金)、阪急グランドビル(大阪)で表彰式が行われました。受賞報文の概要は以下の通りです。

「溶媒抽出法を用いた使用済み無電解ニッケルめっき液からのニッケルリサイクルに関する研究」

田中 幹也 氏  独立行政法人 産業技術総合研究所 環境管理技術研究部門

 無電解ニッケルめっきは、自動車・機械、電気・電子機器、半導体などの各種産業において多用される重要な表面処理技術である。そのめっき液は、ある程度まで繰り返し使用するが、副生成物の蓄積によりめっき速度や皮膜特性が低下するので、最終的には4g/L程度含まれるニッケルを回収することなく使用済みとしてほとんどを廃棄処分している。

 我々は、使用済み無電解ニッケルめっき液(以下使用済み液)からのニッケル回収ならびにめっき液の長寿命化を目的として、2相間の物質の分配の差を利用した分離技術である溶媒抽出法を適用する研究を実施し、ニッケルイオンを、使用済み液から抽出しさらに硫酸で逆抽出することにより硫酸ニッケル溶液として回収しめっき工程にて再利用するプロセスを開発した。またアルミニウム表面へめっきする際に用いる下地めっき液に蓄積する亜鉛を選択的に抽出除去し、下地めっき液の寿命を5倍程度延ばす技術も確立した。さらにこれら両技術について、めっき工場内において実機運転も実現させた。

 本研究論文は、これら成果に関する原著論文10報その他の内容をまとめたものであり、バッチによる基礎実験から連続実験、実機運転の結果に至るまでを概説したものである。

 本技術は、スラッジを生成することなく、迅速な目的金属の抽出や除去が可能であり、無電解ニッケルめっき液のみならず、各種の廃液・工程液中の有価金属の回収にも適用が期待される。

使用済み無電解ニッケルめっき液のリサイクルフロー

使用済み無電解ニッケルめっき液のリサイクルフロー

「キノコ生産を核とした焼酎粕乾燥固形物の循環システムの構築」

山内 正仁 氏  鹿児島工業高等専門学校 都市環境デザイン工学科

 これまでに焼酎製造過程で発生する焼酎粕を培地栄養材として用いた焼酎粕培地でエリンギ、ヒラタケの栽培試験を実施し、アミノ酸量、菌糸密度、品質特性ともに従来品より高付加価値なきのこを高収量かつ低コスト生産可能であることを明らかにした。しかしながら、焼酎粕培地できのこを量産化するにあたり、培地水分率が高くなるにつれて培地の粘性が強まり、従来の瓶詰め装置での培地材料の充填が困難であるという工業的課題が残された。また、焼酎粕の地域資源循環システムを構築するためには,焼酎粕廃培地の利用法を検討する必要があった。

 本研究では、まず、蒸気(水分)注入穴あけ機を開発し、従来の瓶詰め装置と組み合わすことで工業的課題を解決した。次に廃培地を濃厚飼料の一部代替として利用した発酵混合飼料を調製し、緬羊で消化・採食試験を実施した。その結果、廃培地使用区では対照区と比較して消化率はやや低いが、可消化養分総量、乾物摂取量については有意差が認められなかったことから、廃培地を5~10%混合した発酵混合飼料は給与可能であることがわかった。また、きのこ廃培地を濃厚飼料の代替として活用すると飼料費を削減することが可能であり、収益性の改善が図られると考えられた。

 飼料価格が高騰している昨今、地域資源を利用した飼料が安価で供給されることになると畜産業への貢献も可能となり、焼酎粕の新しい資源循環システムの構築も可能となる。

焼酎粕の資源循環システム

焼酎粕の資源循環システム

CJCトピックス

平成22年度JICA集団研修「廃棄物3R・再資源化」(A)コースを実施しました

 当センターでは、独立行政法人国際協力機構(JICA)から委託を受けて、平成22年11月17日から12月17日の約1ヶ月間、JICA集団研修「廃棄物3R・再資源化」(A)コースを実施しました。

 本コースは海外諸国の政府または都市ごみ行政に携わる実務者を対象として、日本の廃棄物問題対策の歴史を含めた関連法体系、3R推進施策、産業会や自治体の取組についての講義及び廃棄物処理施設やリサイクル施設・工場の視察、経済産業省・自治体・NPOとの交流等を通して、研修参加者の自国での改善計画(アクションプラン)策定を自らが行うことを目標としています。講師、見学先関係各位、交流先の方々のご好意・ご協力により有意義な研修ができ、研修参加者も大変満足して帰国していただきました。

 研修参加者は9名(ブラジル、メキシコ、モルドバ、モンゴル、フィリピン、マケドニアFYR、トンガ、バヌアツ)、講義・視察等にご協力いただいた団体、企業等は次の通りです。

各地のリサイクル現場を視察

各地のリサイクル現場を視察

閉講式の様子

閉講式の様子

講義協力:

東京二十三区清掃一部事務組合、経済産業省、特定非営利活動法人日本環境斎苑協会、日立造船株式会社、公益財団法人日本容器包装リサイクル協会、財団法人家電製品協会、公益財団法人自動車リサイクル促進センター、グリーン購入ネットワーク、3R推進団体連絡会、品川区清掃事務所、NPO法人埼玉エコ・リサイクル連絡会

視察等協力:

株式会社井上、株式会社中田、世田谷区資源循環センター リセタ、目黒区環境清掃部清掃リサイクル課、東京二十三区清掃一部事務組合(目黒清掃工場、中防処理施設)、三栄レギュレーター株式会社、芝園清掃工場、小山化学株式会社、株式会社テルム、株式会社エコネコル、株式会社トベ商事

(講義・視察順・敬称略)

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平成23年度「資源循環技術・システム表彰」の募集について

 クリーン・ジャパン・センターでは、平成23年度も「資源循環技術・システム表彰」の募集を行います。この表彰は、廃棄物の3Rに寄与する優れた事業や取り組み(技術的またはシステム的特徴を有するもの)を表彰することによってそれらを奨励・普及し、循環ビジネスの振興を図ることを目的に、昭和50年から毎年実施しているものです。

主催:財団法人クリーン・ジャパン・センター

後援:経済産業省(予定)

募集の対象

 企業その他の事業団体が実施する以下の事業・取り組み。

 ①再生資源の有効利用事業

 ②使用済み物品の再使用事業

 ③副産物・廃棄物の発生・排出抑制

 ④副産物・廃棄物の減量化・再生利用・再使用に係わる技術・装置・システムの開発事業

 ⑤資源循環型製品の開発・普及事業

 ⑥その他(上記の複数分野に亘る総合的な取り組み等)

賞の種類(予定)

 ①経済産業大臣賞

 ②経済産業省産業技術環境局長賞

 ③財団法人クリーン・ジャパン・センター会長賞

 ④奨励賞

募集期間

 平成23年2月1日~4月22日

表彰式

 平成23年10月に東京で挙行(受賞者には表彰状及び記念品を贈呈)

 応募書類の書式、その他詳細につきましては、当センターホームページに掲載致します(2月中旬予定)。また、過去の受賞事例は下記でご覧いただけます。多数のご応募をお待ちしております。

イラスト:パソコン

資源循環技術・システム表彰 過去の受賞事例

http://www.cjc.or.jp/modules/incontent/index.php?op=aff&option=0&url=CJC/cjc_syokai/main32.html



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