文部省「環境教育指導」資料にみる環境教育の学習指導要領について
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出所:文部省「環境教育指導資料」
(小学校編/H4、中学校・高等学校編/H3、事例編/H7)
Ⅰ.環境教育の目的
(出所:文部省「環境教育指導資料」小学校編、中学校・高等学校編、事例編)

『環境や環境問題に関心・知識をもち、人間活動と環境とのかかわりについての総合的な理解と認識の上にたって、環境の保全に配慮した望ましい働き掛けのできる技能や思考力、判断力を身に付け、より良い環境の創造活動に主体的に参加し環境への責任ある行動がとれる態度を育成する』

【参考】
■ ベオグラード憲章(1975年、環境教育のねらいを明確にした国際環境教育会議で採決)
 個人及び社会集団が具体的に身に付け、実際に行動を起こすために必要な目標として、以下の6項目を提示(「環境教育が準拠すべき枠組み」:指導資料のコメント)。
  ①関心: 全教育とそれにかかわる問題に対する関心と感受性を身につけること。
  ②知識: 全環境とそれにかかわる問題及び人間の環境に対する厳しい責任や使命についての基本的な理解を身につける。
  ③態度: 社会的価値や環境に対する強い感受性、環境の保護と改善に積極的に参加する意欲などを身につける。
  ④技能: 環境問題を解決するための技能を身につけること。
  ⑤評価能力: 環境状況の測定や教育のプログラムを生態学的・政治的・経済学的・社会的・美的、その他の教育的見地にたって評価できること。
  ⑥参加: 環境問題を解決するための行動を確実にするために、環境問題に関する責任と事態の緊急性について認識を深めること。

■ アメリカ合衆国環境教育法(1970年制定)
  環境教育とは「人間を取り巻く自然及び人為的環境と人間との関係を取り上げ、その中で人口、汚染、資源の配分と枯渇、自然保護、運輸、技術、都市と田舎の開発計画が、人間環境に対してどのようなかかわりをもつかを理解させる教育のプロセスである」。(「単なる自然を保護するための教育ではない」:指導資料のコメント)

Ⅱ.環境教育の指導を通して身に付けたい能力と態度
(出所:文部省「環境教育指導資料」中学校・高等学校編)

1.環境教育における能力の育成

(1)問題解決能力
 ここでいう問題解決能力とは、環境や環境問題に対して進んで働き掛け、自ら問題を見つけ、予測をたて、事象を調べる方法を考え、実践し、結果を考察、吟味し、新しい問題に応用するなどの能力である。(以下省略)
(2)数理的能力
 ここで言う数理的能力とは、環境にかかわる事象を数値化し、定量的、統計的にその事象を捉える能力である。(以下省略)
(3)情報収集能力
 ここでいう情報収集能力とは、コンピューター等を用いて、必要な情報を収集し、選択し、処理する能力及び新たな情報を創造できる能力である。(以下省略)
(4)コミュニケーション能力
 ここでいうコミュニケーション能力とは、環境や環境問題について関心をもち、自分なりの考えや意見を持つとともに、それらの考え、意見、調査結果などを口頭、文章、映像など、様々なメディアを活用して表現する能力である。(以下省略)
(5)環境を評価する能力
 環境を評価する能力とは、環境を見つめ、環境状況の変化をとらえ、環境に与える影響を評価できる能力であり、事前に環境を予測的に評価したり、事後の環境状況を多面的、総合的に考察し、判断できる能力である。 (以下省略)

2.環境教育における態度の育成

(1)自然や社会現象に対する関心、意欲、態度

 自然や社会現象に対する関心、意欲、態度は、自然や社会への接し方やそれらを大切にしようとする心情から生まれる。例 えば、人間の生活によって排出されたごみや生活雑排水などによって、生活環境はどのように影響されているかなど、身近な問題に関心をもち、意欲的に問題解決を図るとともに、環境保全のためにどのような生活様式をとり、実践的な行動をとるべきかなどの積極的な態度を身に付けることであり、主体性の確立が望まれる。
(2)主体的思考
 ここでいう主体的思考とは、独善的な考え方を排して、自然や人間の立場に立って、自然や社会の事象を多面的、総合的にとらえるとともに、事実を尊重し、実証的に考え、公正に判断する態度である。(以下省略)
(3)社会的態度
 ここでいう社会的態度とは、環境問題に対して、自分なりの立場をもち、自分たちの生活と環境の問題とを関連付けて行動しようとする心のもち方である。(以下省略)
(4)他人の信念、意見に対する寛容
 環境問題は、その問題のとらえ方、因果関係、環境への行動様式など多様な考え方や処理の仕方などがあるだけに、始めから固定観念にとらわれるのではなく、他人の考え方や意見に対しても、心を広くして聞く寛容さをもつとともに、事実に基づいて、主体的、客観的に判断を下せるようにすることが大切である。

Ⅲ.学校における教材の選択、指導方法に関する留意点
(出所:文部省「環境教育指導資料」事例編 第1章 学校教育における
環境教育(総論編) 第3節 発達に応じた環境教育)

1.豊かな感受性の育成
 環境教育の基本となるのは、環境とそれにかかわる問題や環境の実態等について関心を持ち、環境に対する豊かな感受性を持つことである。(省略)とりわけ小学校段階は、あらゆる事象に対して豊かに感受する時期である。(以下省略)

2.活動や体験の重視
 児童生徒(特に小学校低学年の児童)は、一般に具体的に事例とかかわりをもち、それら身体や簡単な道具を使って操作することを好む。(省略)このような活動や体験は、小学校において特に大切なことである。(以下省略)

3.身近な問題の重視
 環境問題というと、ともすれば地球環境規模の環境問題、例えば、地球の温暖化、オゾン層の破壊、熱帯林の減少などが取り上げられがちであるが、それらの問題を直接取り上げる前に、まず身の回りの社会事象や身近な自然の事象などに目を向け自ら考えるようにすることが大切である。

4.総合的な把握力の育成

 環境問題を認識するためにまず身近な問題から取り上げて、関心を持たせることが重要であるが、児童生徒の発達に応じて、それが地球規模の問題にまでつながっていることや地域的な広がりをもつようになっていることを認識するとともに、それらの問題が相互に深くかかわっていることを理解するなど環境問題を総合的に把握できるようにすることが大切である。(以下省略)

5.問題解決能力の育成

 身近な環境や様々な自然、社会現象の中から自ら問題を見つけ、仮説(予想)をたて、事象を調べる方法を考え、実施し、結果を考察、吟味し、新しい問題に応用するなどの問題解決能力を身に付けるようにすることが大切である。(以下省略)

6.総合的な思考力・判断力の育成
 自然や社会の事象を多角的・総合的にとらえるとともに、事実を尊重し、実証的に考えることによって独善的な考え方を排しながら、問題の核心をとらえたり、独創的かつ効果的な解決策を考えるなど、より高い次元の能力を追求していくことが求められる。(以下省略)

7.主体的に働き掛ける能力や態度の育成
 青年期は多様化が一層進行する時期であり、主体的に考え、自分なりの解決策をとって独自の生活様式を確立していくことが求められる。(以下省略)

8.専門的分野における知識と技術の取得
  様々な産業分野における環境の保全に関する取組について、基礎的・基本的な知識と技術を取得させ、環境問題の正しい理解を得させるとともによりよい環境の創造に取り組む能力と態度を育てる必要がある。(以下省略) 以上

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