cjc | 1月号-3
 
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平成17年度調査研究報告

産業機械の環境配慮設計に向けた指針作成に係る調査研究
―製品アセスメントガイドライン作成指針―(財団法人機械振興協会経済研究所委託事業)

 製品の製造に関し、設計段階から環境に配慮し環境負荷の低減を図ることが、国内外で求められています。本報告は、産業機械メーカー各社が製品の製造段階から輸送、使用、廃棄までのライフサイクルを通して環境負荷の低減を図る環境配慮設計を進める上でベースとなる「製品アセスメントガイドライン作成指針」をまとめたものです。また、産業機械メーカーでのヒアリング調査にて、現場で使い易くするようにとの要望に答え簡潔にまとめ現場に役立つ指針を目指しています。


<産業機械の製品アセスメントガイドライン作成指針>
(1) 本指針は産業機械の環境配慮設計(DfE)を推進する上でベースとなる「製品アセスメント」について、産業機械関連業界団体が「製品アセスメントガイドライン」を作成する際の指針となることを目的としています。
(2) 本指針は、完成品としての産業機械全般を対象としています。
(3) 本指針は、これから環境配慮設計の推進に取り組む産業機械関連業界団体を主な対象としています。また、個々の産業機械メーカーにおいても、自社の製品アセスメントガイドライン(規定)を作成したり、既に環境配慮設計の取り組みを行っている団体・企業においても、その持続的な改善に向けた参考資料として本指針を活用することができます。
(4) 製品アセスメントを進めるためには次の3つの側面があります。
  [1]ライフサイクル各段階の関係者および環境要求等の把握
  [2]製品アセスメント項目の抽出および評価方法の決定
  [3]製品アセスメントの実施体制・組織の管理


図-1 製品アセスメントを実施するための3つの側面

ライフサイクル各段階の関係者および環境要求等の把握ガイド(指針A)
  製品のライフサイクルを同定し、製品のフロー(拡散)に応じた関係者(ステークホルダー)からの環境要求を収集することが必要です。


図-2 製品のライフサイクルと関係者(イメージ)

製品アセスメント項目の抽出および評価方法確立のためのガイド(指針B)
  ライフサイクルのパターンごとに、顧客要求が異なることを踏まえ、汎用的な製品アセスメント項目から、産業機械の環境配慮設計に有効と思われる項目を抽出し、各社において本ガイドを参考に自社製品アセスメント規定を作成する必要があります。


図-3 製品アセスメントシートの作成例

製品アセスメントを運用するためのガイド(指針C)
・製品開発フローのどの段階で製品アセスメントを実施するのかを明確にする必要があります。
・設計者自身が行う製品アセスメントの評価を容易にするよう、加工や購買に係わるデータベースを構築します。
・実施された製品アセスメントの内容を検証・保証するために、製品開発の責任者によるチェックや、デザインレビュー(DR)の際の品質担当の役割を明確にする必要があります。

製品開発のフロー 実施内容 担当者
製品企画 ・評価項目に対する目標数値の決定 製品開発責任者
・評価の実施 設計者
企画評価(DR1) ・評価結果(アセスメント内容)
 のチェック
品質担当者
概念・基本設計 ・評価の実施 設計者
試作評価(DR2) ・評価結果のチェック 品質担当者
詳細設計 ・評価の実施 設計者
製品評価(DR3) ・評価結果のチェック 品質担当者

図-4 製品開発のフローに沿った製品アセスメントの役割分担の例


「セメントキルンを用いた廃棄物の非セメント資源化技術に関する調査」(NEDO委託事業)

 セメント生産における廃棄物・副産物使用原単位は400kg/トンに達し、総量では約3,000万トンにも達しています。その一方で、セメント国内需要は、今後2008年度5,300万トン程度まで減少し、その後、5,300~5,500万トン程度で推移すると予想されています。このようなセメント需要の減少により、セメント産業において、従来どおりの廃棄物・副産物の再資源化を行うことが困難な状況になりつつあります。そこで、廃棄物・副産物の新たな大量資源化方法として、セメントキルンを利用した非セメント資源化技術を想定し、既存技術や市場調査に基づく必要性および有効性の確認、さらに事業化に向けた技術的課題の明確化を行いました。
  セメント品質維持の観点からセメント生産におけるこれ以上の廃棄物・副産物使用は難しく、将来セメント産業で受入れ不可能となる廃棄物・副産物量は2020年には約377万トンにも達する可能性があると試算されます。このことから、セメント減産下においてセメント産業における廃棄物・副産物使用を維持するために、大量の廃棄物・副産物からセメント以外の非セメント資源を製造する非セメント資源化技術の開発が必要であると判断されます。
  非セメント資源の想定原料としては、環境負荷が大きく、セメント産業への依存度が高い廃棄物・副産物、具体的には、汚泥、燃えがら、鉱さい、ばいじんおよび都市ごみ焼却灰等が挙げられ、さらに将来的な想定原料の候補として、建設発生土、建設汚泥、浚渫土、汚染土壌およびアスベスト含有廃棄物が挙げられます。
  セメントキルンによる廃棄物・副産物の非セメント資源化に必要となる技術課題等として、未燃分燃焼除去技術、高強度品焼成技術および還元徐冷技術が挙げられます。また、この非セメント資源化技術による環境負荷低減は、セメント産業にける現状レベルの受入れ量維持による廃棄物排出量削減のみでも十分に大きな効果をもたらすと考えられます。
  非セメント資源化物が対象とする土工資材市場は緩やかな減少傾向にあります。その中で再生品市場は微増傾向にあります。市場における非セメント資源化物等の再生品の受容性は高く、特にコンクリート骨材への期待度が高いと予想されます。さらに、2020年度の非セメント資源生産量は約377万トンと試算されますが、これは2002年度国内骨材需給(704百トン)の僅か0.5%にしか相当しません。すなわち市場としての受入余力は十分であると期待されます。一方、土工資材は一般に安価であるため、地域性が非常に高い商品とされています。したがって、市場の地域偏在性や廃棄物の地域的発生・処理状況等も考慮した事業計画を検討する必要があります。また、非セメント資源化技術の普及・拡大へ向けて、既存規格への適合ではなく、JIS化を目指すことも必要であると思われます。


EU総合的製品政策(IPP)実施戦略(日本語版)(競輪補助事業)

欧州委員会から理事会と欧州議会へのコミュニケ
  ―総合的製品政策 環境ライフサイクル思想の構築―

 EUの総合的製品政策(IPP: Integrated Products Policy)とは、RoHS指令、WEEE指令、EuP指令等の環境配慮型製品に関する個別の規制を補完しながら、様々な製品を対象としてライフサイクル全般を通じて包括的に環境パフォーマンスを向上させることを目的とした政策です。
  IPPは多種多様な製品を対象とすることや、製品の製造から使用・廃棄に至るライフサイクルは長く複雑でメーカー・流通業者・消費者等多くの関係者が関与することから、単一の政策や措置で対応するのではなく、経済的措置、特定物質の使用禁止、自主協定、環境ラベリング、製品デザインに対するガイドライン等、種々のツールを効果的に組み合わせることが基本方針になっており、その枠組みが検討されています。
  本書は、欧州委員会が2003年6月に採択したIPPの実施戦略に関する通達文書の仮訳版で、現時点でのEUにおけるIPP実施のためのアプローチが盛り込まれています。具体的には、
・環境マネジメントシステム「IPPツールボックス」やエコラベル等の既存ツールを、より製品に焦点を当てたものに改善すること。
・環境面で大きな改善の可能性がある製品について、環境パフォーマンスを向上させること。
・ステークホルダーからの欧州委員会への提案を基に、特定の製品についてパイロットプロジェクトを実施する。
・ステークホルダーとの対話を基に、LCAのベスト・プラクティス(優良事例)に関する実践的なハンドブックを発行する。
・欧州委員会のグリーン調達のための行動計画策定。
等が挙げられます。  
  RoHSやWEEEは、我が国の企業・製品づくりにも大きな影響を及ぼしていますが、本書は、そうした拡大生産者責任に関するEU措置・政策の全体観や今後の方向性を見通す上で参考になる文献です。

RoHS指令:電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令(2003年2月13日公布)
WEEE:廃電気電子機器指令(2003年2月13日公布)
EuP指令:エネルギ使用製品のエコデザイン要求の統合指令(2005年7月22日公布)




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