cjc | 2月号-3
 
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21年度調査研究紹介

産業機械分野の3Rに係るレアメタル対策推進に関する調査(競輪補助事業)

 レアメタルは、産業機械分野において製品の小型化・高性能化や省エネルギーの諸点で日本の国際競争力の維持・発展に欠かせない重要な資源です。しかし、その産出が特定の国に偏在しているために戦略的な対応が求められる資源であり、我が国の資源戦略上、重要な課題となっています。

 このような状況を踏まえ、今後普及の顕著な拡大が予想される次世代自動車に使用される希土類磁石モータやリチウムイオン電池についてのレアメタルリサイクルについて調査しました。

 1. レアメタルの新規需要増加の要因

 最近では特に地球温暖化対策として、

  • 次世代自動車(ハイブリッド自動車、電気自動車)の普及
  • 省エネ家電の普及
  • 再生可能エネルギー(太陽光発電、風力発電など)の普及
  • スマートグリッド(次世代型電力送配電網の構想)の取組

が始まっています。これらの共通基盤技術は、高性能磁石モータとリチウムイオン電池等の二次電池です。高性能磁石モータでは、ネオジム、ジスプロシウム、リチウムイオン電池ではリチウム、コバルト、マンガンといったレアメタルが使用されます。

 2. 2020年次世代自動車の普及見通し

 温暖化ガス排出量を2020 年までに1990 年比25%減らす目標達成に向けた環境大臣試案の地球温暖化対策に係わる中長期ロードマップから、ハイブリッド車(以下HV)50%(2,730千台)、電気自動車(以下EV)を7%(382千台)と予想しました。

2020年次世代自動車の普及見通し

 3. 希土類磁石使用量の推定(2020年)(図2)

希土類磁石使用量の推定(2020年)(図2)

 4. リチウムイオン電池のリチウム使用量の推定(2020年)

リチウムイオン電池のリチウム使用量の推定(2020年)

 5. 希土類磁石リサイクルの必要性、及びリサイクル技術

(1)リサイクルの必要性

 希土類の需要量132 酸化物千トン(2008 年)のほとんどを中国が生産し、希土類の輸出規制を強化していることから、希土類磁石のリサイクルの必要性は大きいと言えます。

(2)希土類磁石のリサイクル技術(回収/分離・処理技術)

 ①回収技術

  • 製品回収→解体→分解→選別→脱磁技術
  • リサイクル容易設計技術

 ②リサイクル技術

 【湿式処理技術例】

  • 溶媒抽出法によるネオジムとジスプロシウムの分離
  • オートクレーブによるネオジム磁石からの希土類元素の選択的浸出
  • スラッジ粉末のFeを電波吸収剤として利用する方法

 【乾式処理技術例】

  • 希土類塩化物の蒸気圧の差を利用する蒸発法
  • 鉄の塩化物を塩化剤として用いるネオジム回収法
  • マグネシウムを抽出剤として磁石合金のスクラップから金属ネオジムを直接取り出す方法

 【ジスプロシウム使用量の低減を目指す技術開発例】

  • 結晶粒の微細化や界面ナノ制御による削減技術開発

 6. リチウムイオン電池リサイクルの必要性、及びリサイクル技術

(1)リサイクルの必要性

 リチウムの偏在性(チリ、アルゼンチン、米国で73%、中国27%)や、生産者が寡占に近い(SQM(チリ)、Chemetall(独)、FMC(米)3社で61%)ことから資源高騰等のリスクはありますが、カントリーリスクは比較的小さいと思われます。

(2)リチウムイオン電池のリサイクル技術(回収/分離・処理技術)

 現在リチウムはリチウム二次電池からのリサイクルの対象となっていませんが、今後リサイクルを行う場合、リチウムのリサイクル回収技術は、現行の原料かん水からのリチウム回収プロセスと同様に湿式技術の適用が望ましいと判断されます。



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