cjc | 1月号-2

CJCトピックス
平成16年度リサイクル技術開発 本多賞表彰式
 平成16年度リサイクル技術開発本多賞として、「環境調和型設計のための製品ライフサイクルプランニング手法」及び「家電リサイクル分野におけるゼロエミッションの達成」の2報文が選ばれ、1月28日に大阪で表彰式が行われました。

リサイクル技術開発本多賞
 リサイクル技術開発本多賞は、長年廃棄物リサイクルの分野に携わってこられた故本多淳裕先生(元大阪市立大学工学部教授、元(財)クリーン・ジャパン・センター参与)のご厚意とご提案により、リサイクル関連技術開発に従事する研究者・技術者等への研究奨励を目的として平成8年度に創設されたもので、以来回を重ね、平成16年度で9回目の表彰となります。

選考経過
 リサイクル技術開発本多賞は、受賞対象報文を公募し、応募のあった報文について、当センター内に設置された選定委員会で厳正に審査を行ったうえで決定されています。
  平成16年度については、平成16年7月7日から9月29日まで報文の公募が行われ、この期間内に8件(研究報文3件及び技術報文5件)の応募がありました。この8件について、選定委員会において、報文評価、業績評価、推薦者評価を踏まえて厳選なる審査が行われ、標記2件の受賞報文が決定されました。


表彰式
 表彰式は、平成17年1月28日、新阪急ビル「スカイルーム」(大阪梅田)において行われ、受賞者に対して表彰状及び副賞が授与されました。また、表彰に引き続き、受賞者による発表が行われました。
(表紙写真)


受賞報文の概要
 平成16年度リサイクル技術開発本多賞を受賞した報文の概要は次のとおりです。


【研究報文】環境調和型設計のための製品ライフサイクルプランニング手法
代表者 (株)東芝 小林英樹氏
 持続可能な循環型社会の実現に向けて、製品ライフサイクル全体を通して環境負荷を軽減した環境調和型製品を設計するための実用手法が求められている。これまでにも、リサイクル設計法など、ある特定のライフサイクルプロセスに注目した設計手法が開発されてきたが、それらの多くは材料採掘から廃棄処理に至る製品ライフサイクル全体を捉えたものではなかった。一方、ライフサイクルアセスメント(LCA)は製品ライフサイクル全体の環境影響を定量化する評価手法であるが、従来はLCAのデータを製品開発に有効に生かすことができなかった。
 本研究では製品とそのライフサイクルの目標仕様を設定し、環境調和型設計コンセプトを決定するための体系的な手法を提案した。本手法の最大の特徴は製品を構成する部品ごとにアップグレード、保守サービス、リユース、リサイクルなどのライフサイクルオプションの適合性を分析する設計チャートにある。これらのチャートは品質機能展開(QFD)やLCAで生成されたデータを有効活用して作成される。本手法をベースにした設計支援ツールLCPlannerTMを開発し、家庭用クリーナ開発への適用を通じて有効性を検証した。本手法はその体系的な性格から広く企業教育や大学教育でも活用されており、今後、循環型社会のコンセプトに適合した製品開発を推進する際の基盤技術の一つとしてその活用が期待される。

【研究報文】家電リサイクル分野におけるゼロエミッションの達成
代表者 東京エコリサイクル(株) 馬場研二氏
 家電リサイクル法は2001年4月に我が国が世界に先駆けて施行され、現在約40箇所のリサイクル拠点で約1000万台の冷蔵庫、洗濯機、エアコン、テレビが回収され、リサイクルされている。この分野でゼロエミッションを指向する原則を貫き、日本初のゼロエミッションを2年連続で達成するとともに経済性を損なわない経営が可能なことを示した。
 4品目で約60工程の手解体等を徹底的に行い有価物の回収を最優先させた。マテリアルリサイクルでは、まずテレビ筐体プラスチックを鉄道用配線ボックスに再生する用途を共同で開発した。冷蔵庫の野菜箱やエアコンの前カバーなど材質が一定のものを選択的に回収し、材質が特定できないものは近赤外反射式の材質判定機により分別した。これらを専用のプラスチック破砕機にて材質毎に粉砕し、粒径調整と脱塵を経て有価で売却した。洗濯機底板などに水平利用した。残ったミックスプラスチックは破砕後、出荷先で焼却しその残渣をセメントキルンの副原料(元素分析後1%未満量を供給)とし、他方、溶融させたものは路磐材にした。また、エアコンのフロン(HCFC22)はフロン再生企業で純度を測定後、フッ素樹脂に再合成させた。これらの結果、直接埋立量を0.1%にまで減少させた。
 今後はミックスプラスチックの品質を一層向上(燃料化と有価売却)させる新規装置を導入し、資源循環と経済性の高いレベルでの両立を目指す。


平成16年度JICA集団研修(「廃棄物3R・再資源化」コース)
 当センターでは、独立行政法人国際協力機構(JICA)から委託を受けて、1月から2月にかけてJICA集団研修「廃棄物3R・再資源化」コースを実施しましたので、その概要を以下にご紹介します。

平成16年度JICA集団研修「廃棄物3R・再資源化」コース
 本コースは、ごみ問題対策段階から3R推進に転換意欲ある海外諸国の政府又は都市のごみ行政に携わる実務者を対象にして、日本の廃棄物問題対策の歴史から関連法体系、3R推進施策、産業界や自治体の取組み、及び出来るだけ多くの実施例の見学等を通じて3R実務を研修し、研修員の自国での改善計画(アクションプラン)策定を研修員自らが行うことを目標としています。
  当センターは、独立行政法人国際協力機構(JICA)より本コース実施機関としての委託を受け、財団法人日本国際協力センターと緊密に連携し、実施要項(GI)作成段階から研修員選考、カリキュラム作成・実施、研修員アクションプランの個別相談対応に至るまで本研修コースの全運営に参画しました。本研修事業の概要は次のとおりです。

・期 間: 平成17年1月16日~2月19日(35日間)
・研修員: 7名
(チリ、エクアドル、メキシコ、ナイジェリア、スリランカ)
・講 義: 全28テーマ
(CJC内部講師12名、外部関連機関の専門講師4名)

経済産業省への表敬訪問・交流会(1月20日)
 研修員は海外諸国の3Rを目指す行政関係者ということもあり、日本の3R推進関連省庁との交流には大きな意義がありました。経済産業省では、JICA代表による挨拶、経済産業省リサイクル推進課長井内摂男氏の歓迎スピーチの後、研修員の自己紹介を皮切りに交流が開始されました。さらに、企画調整係長鍋島学氏から"Sustainable Society Based on 3R"と題して3R施策と経緯等について特別講演をいただき、活発な質疑応答・討論が行われ、非常に有意義な交流になりました。



「百聞は一見に如かず」の、広汎な3R実施例見学
 本コースでは、見学先関係各位の格別なご高配により、講義テーマに関連して研修員にとって充実した施設見学を体験できました。見学した施設等は訪問順に次のとおりです。

・港清掃工場/港再資源化センター
・東京都環境局中防合同庁舎/中防埋立処分場
・積水化学工業(株)栗東工場
・八木町:八木バイオエコロジーセンター
・園部町:カンポリサイクルプラザ(株)
・ホテルニューオータニ(コンポスト等の環境施設)
・アサヒビール(株)神奈川工場
・(株)啓愛社 金沢リサイクル工場(廃自動車解体)
・JFEスチール(株)総合リサイクル事業センター各種リサイクル工場
・熊谷市:(株)国分商会(廃タイヤ)
・太平洋セメント(株)熊谷工場
・川口市旭環境センター/リサイクルプラザ

地域3R活動交流会(ミニ・シンポジウム)(2月15日)
 日本の3R推進活動の成果は、法体系・政策に加えて広汎な市民活動とそれを牽引してきたNPO団体等や自治体との協働によるところ大と思われます。3R推進をテーマに双方向交流を目指し、市民活動団体のリーダーの皆様と研修員とのシンポジウム・交流会を実施しました。
 崎田氏による「3Rで広げる協働の循環型地域つくり」と題する日本の地域3R活動全体像の講演及び日本側参加者による各活動概要の紹介をもとに活発な質疑応答・討論・交流が行われました。予定を1時間余り超過するほどの熱心な会となりましたが、座長の卓越した会の運営もあって、研修員にとっても日本側参加者各位にとっても有意義な双方向交流が実現できたと思います。日本側参加者は下記の各位(順不同)です。

・崎田裕子氏 (座長)
・中森まどか氏(「エコスタッフ@めぐろ」)
・上田英世氏 (「こまばリサイクルの会」)
・鬼沢良子氏 (「持続可能な社会をつくる元気ネット」)
・水野裕子氏 (日本環境協会)
・和田慎一氏 (目黒区環境清掃部)

アクションプラン発表会(2月17日)、評価会・閉講式(2月18日)
 本研修習得事項を最大限に活用し、研修員が自国の現状・課題を分析し、帰国後どのように問題解決に取り組んでいくのかをまとめた報告書を作成し、発表・討論する会が2月17日に開催されました。発表と熱心な討議とで5時間に及ぶ有意義な発表会となりました。
  本年4月末に東京で開催される「3Rイニシアティブ閣僚会合」に関連した一連の動向のなかで本研修事業は日本政府関連機関による海外3R人材育成支援の「先行事例」のような役割を果たしえたと確信しております。本研修事業の遂行にあたり100名超の皆様からご協力・ご支援をいただきました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。





クリーン・ジャパン・ニュースレター [No.11]2

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