cjc | 9月号-5
 
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バイオマスの高度リサイクル技術の開発状況調査
(日本自転車振興会補助事業)



1. 調査の目的

  廃棄物系バイオマスのマテリアル利用として、間伐材、林地残材や製材残材、建築発生木材を利用した再生木材の開発や、農業、畜産業で発生する廃棄物系バイオマスの堆肥や飼料への利用があげられる。
  しかし、これらのマテリアル利用はその用途に応じて受入可能材を厳選して使うことが必須であり、また大量の需要先として頼むことは難しいのが現状である。
  一方、バイオマスのエネルギー利用は大量に一括処理するに相応しい技術と考えられ、マテリアルリサイクルとの棲み分けを考えるうえで、エネルギー利用に関する情報収集が欠かせない。
  そこで、バイオマスのエネルギー利用技術の中から、メタン発酵による発生メタンの利用、木質バイオマスの直接燃焼発電及びガス化発電の3つの技術を取り上げ、先進的に取り組んでいる代表的な事例について、その成立の経緯や設備稼働の現状のヒアリング調査を行い、新エネルギーの確保技術、廃棄物処理技術の両面からの事業性の考察を行った。

2. 調査の概要
  第1章では「バイオマス資源とその利用技術の現状」として、廃棄物系バイオマスの種類毎にその存在量、主な利用技術について概説した。
  第2章では「エネルギー利用技術の導入事例の調査」として、メタン発酵5社、木質バイオマスの直接燃焼発電3社、ガス化発電2社にアンケート、追加ヒアリング、現地調査等を実施した結果を示した。
  第3章では「エネルギー利用施設導入に関する考察」として、第2章で調査した事例調査の情報をもとに、稼働率、原材料の受入価格等の変動の影響を推察し事業の収益構造を考察した。

3. メタン発酵技術導入事例の特徴
  メタン発酵設備の導入事例では、発電設備を設けている例と、発生メタンガスを燃料として利用している例とがある。いずれにしても事業収入に占める発生メタンによるエネルギー販売の収入は非常に小さいのが特徴で設備費を下げるという点で、発電などを行わず直接のガス利用が可能ならその利用が望ましいといえる。
  バイオマス系廃棄物の受託処理事業の場合は受託処理費が収入の大部分を占め事業性を支配している。また、自家処理の場合でも収支の差額を処理費用として企業等が負担することになるが、外部委託による焼却処理との優劣が問題となる。
  若干変わった例として、サザングリーンの例がある。ここではスラリー状の焼酎粕をポンプでプラントに装入し、固液分離した液相部のみをメタン発酵させており、発酵槽の容積効率や操業性が優れている。固形部分はメタンガスを燃料とした乾燥器で乾燥し、飼料として出荷されているがその収益は小さく、組合員の処理料金負担で成立している。
メタン発酵施設の収支構造試算例(カンポリサイクルプラザの例)

4. 木質バイオマスの直接燃焼発電
  木質バイオマスの直接燃焼発電は森林組合や木材利用の企業集団での木質廃棄物の処理と関連企業への蒸気、電力の供給を目的としている例が多い。
  蒸気、電力を近隣企業集団で有効利用し、夜間等の余剰電力を電力会社に売電するのが一般的なパターンといえる。
  この場合稼働率が高ければ、蒸気、電力の収入により、組合員の処理費用負担なしで収支バランスするか、若干の価格でバイオマスを購入しても事業性が見込めそうである。
  電力需要が地元になく、電力会社への売電のみに頼る場合は、RPS法等の優遇価格でも事業性は厳しい。
  また、補助金による設備費負担の軽減は事業性に大きな影響があるといえる。
木質バイオマスの直接燃焼発電の収支構造試算例(能代森林資源利用協同組合の例)

5. 木質バイオマスのガス化発電
  本技術は実証実験段階で連続運転性の確認が中心課題といえる。事業性に関する考察を差し控えた。







クリーン・ジャパン・ニュースレター[No.13]5

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