cjc | 8月号-3

平成15年度の調査研究・環境リサイクル情報センター事業の概要
 循環型社会構築に必要な施策の立案、対策の実行に有用な基礎的情報を収集し、提供するため、当センターでは平成15年において以下の調査研究を実施しました。また、これらの成果に加え様々な3R関連情報を環境リサイクル情報センターから発信しています。

1. 調査研究の概要
(1) 建設発生木材における循環型社会システムのあり方に関する調査研究(日本自転車振興会補助事業)
   年間500万トンといわれている建設発生木材は、その一部がパーティクルボードや製紙用原料として、また、ボイラー燃料として再利用されているもののその再資源化率は38%(平成12年度建設副産物実態調査結果)に留まっており、平成22年(2010年)の再資源化目標値である95%まで向上させるためには様々な観点から課題を把握し改善策を講じることが必要となっています。一方、建設現場での分別が定着してきたことや中間処理施設が増加してきたことなどによりこれまで焼却処分されていた建設発生木材が大量にリサイクル市場に廻ってくるようになりました。このような背景のもとに、関東地域を対象として建設発生木材の再資源化状況を精査し、排出、中間処理、再資源化工程等における問題点を整理しました。

(2) 製鉄所を活用した廃石膏ボード再資源化のための収集・運搬システム構築計画(日本自転車振興会補助事業)
   石膏ボードは現在、年間約468万トン製造され(2000年度)、それが使用される際に発生する端材など新築系廃石膏ボードは発生量の約40%(年間約16万トン)が製品メーカーにより引き取られ再資源化されていますが残りの廃石膏ボード(年間約21万トン)の多くは埋立処分されていると考えられています。一方、建物などに使用されその解体に伴い発生する解体系廃石膏ボードは2002年度に91万トン発生し、2010年度には176万トンに増加すると予想されていますが、現在のところそのほとんどが埋立処分されています。このような状況を踏まえ、廃石膏ボードを大量に再資源化できる手法として期待されている製鉄所の焼結原料化をモデルとして、廃石膏ボードの収集・運搬システムを構築するにあたっての関係主体、その役割分担等について研究しました。

(3) 太陽光発電システムのリユース事業システムの調査研究(日本自転車振興会補助事業)
 我が国の太陽光発電システムは国の補助制度が始まった1994年度頃から急速に普及が始まりその導入量は2001年度末には累計で40万kW(約10万台)に達していますが、今後更に導入が進み2010年度には導入目標量が累計で482万kW(約150万台)となっています。一方、2010年頃からは家屋等の立て替えに伴い、まだ使用可能な使用済みの太陽光発電システムが、大量に発生すると予想されています。太陽光発電システムは使用段階で電気エネルギーを作り出す(売電可能)ため使用可能なものは可能な限り長く使用すべきと考えられています。そこで、健全なリユース市場を形成するために、太陽光発電システムは今後更に技術開発が進み高性能化・低価格化が進むことを前提とした上で、回収、検査、補修、保証、販売等に関する様々な課題を整理しました。

(4) 産業廃棄物(鉱業廃棄物)・有価発生物の動向調査(済産業省委託事業)
 製造業、電気業、ガス業、鉱業の各事業所から発生する産業廃棄物(鉱業廃棄物を含む)・有価発生物の発生・減量化・再資源化・最終処分等の状況(平成14年度実績)について主要工業団体(52団体)、その加盟企業、その他企業の協力を得てアンケート調査を実施し(約5,200事業所から回答を受領)、その上で製造品出荷額等を使用して拡大推計することで我が国の製造業等全体の状況を業種別、廃棄物・有価発生物の種類別に推計しました。また、併せて主要工業団体別の産業廃棄物(鉱業廃棄物)・有価発生物についてその発生・減量化・再資源化・最終処分場等の状況を整理しました。
 なお、約5,200事業所の回答は全国の製造業等全体の約62%をカバーしています。
 これらの調査結果は循環型社会構築に必要な政策の立案の基礎的な情報や各工業団体等の廃棄物等に対する自主的な取り組みのフォローアップとして活用されています。

(5) 電気電子機器廃棄物リサイクルに係る先導的知見の調査(経済産業省委託事業)
 家電リサイクル法などのリサイクル法制度は従来、公共サービスとして実施してきた一般廃棄物の処理負担を生産者、小売業者、消費者、市町村に再配分するものであるためにその負担をめぐり新たな利害関係を生じています。従って、リサイクル制度を円滑に運用していくためには、短期的政策目標を設定することなく多様な意見に耳を傾け、関連する研究成果や知見に関する知識ベースを拡大しながらあるべき姿を追求していくことが重要であると考えられます。この主旨に基づいて廃棄物リサイクル制度・経済・法律・技術・自治体清掃事業に関する第一線の専門家(慶大:山口先生、千葉大:倉阪先生、東大:安井先生、福岡大:浅野先生、東京都環境局:古澤先生)を講師に招請して電気電子機器リサイクル制度に関する先導的知見をご講義頂き、知識の蓄積を図りました。

(6) 循環型製品・システム市場化開発調査(経済産業省委託事業)
 再生資源の新規用途の開発・拡大等を図るために、経済産業省の採択した次の7事業について試作品製造、性能試験等の運営管理を行うとともに、エコプロダクト展に試作品等を展示しました。
  廃ガラス・陶磁器等無機系破棄物の破砕加工による粒子活用製品の試作(株式会社環境保全サービス)
  使用済硬質塩化ビニル管・継手の再生利用(株式会社クボタ)
  廃光ファイバーの再利用技術に関する調査(社団法人電線総合技術センター)
  家電リサイクル設備から排出されるポリウレタン樹脂の有償マテリアルリサイクル化の検討(東京エコリサイクル株式会社)
  ブラウン管ガラスクズのリサイクル(株式会社松下エコテクノロジー)
  廃木材の加圧炭化法による自由成型リサイクル品の用途開発(株式会社本吉建設)
  木質廃棄物と植物由来のデンプン系バインダーとの混合による家具・装備品及び日用雑貨品等の押出・射出成型品の開発(ワタナベ工業株式会社)

(7) 環境配慮型製品市場・製造のグローバル化における生産者の課題に関する調査研究(社団法人機械振興協会委託事業)
 製品メーカーの海外展開に伴い部品等の調達先、製品の供給先も海外へ拡大しています。本調査ではASEAN諸国及び中国に進出している日系企業(電気・電子機器、自動車等)の原材料・部品の調達先、製品の供給先等のサプライチェーンの事例を調査し、類型的に整理しました。その上で海外に展開している製品メーカーの原材料・部品調達先への環境配慮要求事項(EMS構築、化学物質管理、3R配慮設計等)、それに対する対応状況を調査して課題と対応の方向を整理しました。



クリーン・ジャパン・ニュースレター [No.8] 3

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